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立野遺跡発掘調査 ブログトップ
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2005-11-15 小鍛冶炉 [立野遺跡発掘調査]

 平安時代(9世紀)に属する第8号住居跡。カマドの手前に小鍛冶の炉跡が確認されています。鍛冶には、鉄塊を加熱・鍛打して不純物を除去する工程(大鍛冶)と、その鉄素材を使って鉄器をつくる工程(小鍛冶)があります。今回確認された遺構は、後者に該当するものです。

 第7号住居跡では、ロクロピットが確認されており、当時は、大規模な集落ではありませんが、工人が住むムラだったようです。

 


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2005-11-14 ロクロピット2 [立野遺跡発掘調査]

 先週末、ロクロピットと思われる遺構が確認された第7号住居跡。本日住居跡を清掃して写真撮影したものが、下です。先週の写真ではちょっとわかりづらかったので、改めて紹介です。西側にカマドがあり、手前赤の三角印の箇所が、直径80cm程のロート状の掘り込みの壙底中央に、さらに直径13cm程のピットが35cmの深さで掘り込まれています。覆土中には、白色粘土が認められました。

 この右側には、床面より低くなる浅い不整形な長方形の掘込みがあり、覆土中には、白色粘土が認められました。ロクロピット手前の穴は、攪乱と思われます。

 報告書の図面でしか見たことが無いのですが、恐らくロクロピットで良いのかと思いますが、いかがでしょうか? 確か比企郡鳩山町の鳩山窯跡群でW氏が集成していたとの噂を聞きましたので、ちょっと調べてみます。この遺構で何の作業をしていたのでしょうか? 土師器でも作っていたとなると、近くに焼成窯があるはずですが・・・。

 またこの他、現在掘立柱建物跡確認中です。かなり大きな柱穴で、どうやら総柱になりそうなので、倉庫跡が想定されます。時期は、覆土中の遺物が少ないので何とも言えませんが、恐らく平安時代(8~9世紀)と思われます。


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2005-11-11 ロクロピット [立野遺跡発掘調査]

 第7号住居跡(11月9日紹介の住居)の中で、ロクロピットが確認されました。本住居は西カマドで、南東隅に確認されました。直径80cm程の円形の掘り込みの壙底中央に、直径13cm程のピットが35cmの深さで掘り込まれています。このピットは、ロクロ軸を据えた穴と考えられます。土壙の覆土中には白色粘土が確認されています。

 ロクロピットとは、回転台の心棒を立てるための土壙と考えられているもので、ロクロを使う作業の工房に伴う遺構と考えられています。この遺構がはじめて認識されたのは、比較的新しく、昭和48年頃と思われます。以来現在まで、ロクロピットが検出された遺跡はそれほど多くはありません。また、土器生産だけではなく、鉄や銅の生産にかかわる工房遺跡でもロクロピットは検出されています。本住居跡覆土中には、鉄滓片が確認されています。

 今回の調査、なかなか普段掘ったことのない遺構が確認されます。調査終了期限が近づいているというのに・・・

 


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2005-11-10 井戸2 [立野遺跡発掘調査]

 第11号地下式壙の壙底を掘り込んでいる井戸。底付近に板碑の下半部が出土しました。覆土中に、青白色の粘土が多量に認められましたが、井戸の底は、粘土層直上で止まっており、粘土層は掘り込んでいませんでした。他の遺構で粘土層まで掘り込み、掘りあげた粘土を、本遺構の覆土中に投棄したものと思われます。

 水は、若干溜まるものの、下写真のように、それほど水位は上がりません。日常の生活に使用する井戸ではなく、墓地で使用する井戸の用途としては、それほど多量の水を必要としなかったため、少量の水で十分だったのかも知れません(ex.地下式壙を利用して肉体を分離した骨の洗骨等)。

 

 板碑は、年号がかろうじて残っていますが、現場では判読できませんでした。

 


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2005-11-09 カマド [立野遺跡発掘調査]

 第7号住居跡カマド。カマドの両袖に片岩の板石を立て、カマドの中央には、底面から12cm程浮いた状態で、土師器の坏が伏せた上体で検出されています。カマドの周囲には、土師器の坏が数個体、やはり床面から10cm程浮いた状態で検出されています。

 

 下の写真は、土壙の覆土中にもぐっていた小さなヘビ。掘り下げていたら急に出てきたそうです。セミの幼虫は良く出てくるのですが、ヘビが出てきたのは初めてです。移植ゴテで折断しなくてよかったです。作業員さんは、「地むぐり(ジムグリ)」と呼んでいました。学名:Elaphe conspicillata。全長0.8~1.2mで、北海道・本州・四国・九州・国後島・伊豆大島・隠岐・壱岐・屋久島・種子島に分布するそうです。毒は無いとの事。そろそろ寒くなるので、動きも鈍く、冬眠も近いようです。

 また、調査区の東側には、烏瓜が色づいてきていました。秋もそろそろ終わりです。


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2005-11-08 大型砥石 [立野遺跡発掘調査]

 第39号土壙、遺物残して完掘。板状の緑泥片岩が3枚、流れ込むように検出され、さらに壙底付近には、火打金が1点確認されました。緑泥片岩の上面には、何の彫りこみも認められないものの、板碑に間違い無いと期待して裏返してみると、やはり彫り込みは無し。ただの板石かとちょっとがっかりでしたが・・・。

 

 表面を良く観察すると、妙につるつるしていました。簡単に水洗いしてみると、数条の細かい傷が確認され、どうやら、砥石として利用したもののようです。もしかしたら、板碑であったものが、研いでいるうちに掘込みが消えてしまったのかも知れません。だとすると、ちょっと罰当たりな気もしますが、細かく割れた板碑片が多く出土していることからも、意外とそのような再利用の仕方もOKだったのかも知れません。板碑(供養塔)の有効期限は、いったいどれ程だったのでしょうか?

 そういえば、以前調査した、立野古墳第3号墳の凝灰岩石室外面にも数条の傷がありました。これは、線刻ではなく、狐の巣穴があり、狐が巣穴を掘り進めようとガリガリやった痕跡と判断しました。今回のは、巣穴も無く、表面がつるつるですので砥石で良いとの判断です。

 その他、本日午後、大字小江川地内で、個人住宅建設に伴う事前の試掘調査1件実施。調査対象面積約500㎡。円筒埴輪片出土。


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2005-11-07 遺構出土遺物 [立野遺跡発掘調査]

 第35号土壙(小型の地下式壙)の遺物取上。石臼片7点(含茶臼1点)・板碑片・内耳土器・摺鉢・カワラケ等が出土しています。現場で、収納前にとりあえず並べてみました。小型の遺構(長1m未満)ながら遺物は比較的多いです。

 

 昨日の午後より雨。幸い朝には雨はあがり、1日晴れでしたが、現場は水溜りがあちこちに残っていました。土壙の中には、かえるが入り込み、抜け出せないでいました。遺構の中のかえる遺跡を知らず(「一つの遺構に囚われていると遺跡全体を把握することができない」という格言?)。「15世紀のかえるだ!」とか「黄泉がえるだ!」などと、作業員さんの話が聞こえました。


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2005-11-04 鉄滓 [立野遺跡発掘調査]

 円形の土壙覆土上層より、鉄滓(てっさい)出土。近くの古墳時代の住居跡からも鉄滓片が出土していますので、南側を流れる小川で砂鉄を採取し、小鍛冶を行っていたものと推測されます。

 遺跡名は、小字名をとって立野遺跡となっていますが、調査区付近は、金山との字名も残っています。調査区の西側の畑からは、耕作中に’金くそ’が多量に出たとの話もあり、またさらに西側には、金山稲荷があったと伝えられる、少し地形的に高まった箇所が存在しています。

 

 また本日は、井戸・土壙・地下式壙等の遺物の多量に出土している遺構の垂直写真を、ラジコンヘリで撮影。委託業者に相談したところ、ちょうど本日群馬県内のY町で撮影の予定があるとのことで、撮影の帰りに、急遽寄って撮影してもらうことになりました。

 

 明日と明後日は、江南町の町民文化祭です。総合文化会館ピピアにて、各種展示催しが行われます。文化財関係も、展示パネル2枚ですが、立野遺跡出土遺物と写真を紹介するコーナー展示を行います。


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2005-11-02 井戸 [立野遺跡発掘調査]

 粘土が覆土中に確認された、第11号地下式壙。遺物を残して掘り下げ完了。底面に段がついてさらに深く掘り下げられています。どうやら、地下式壙の掘り込みを利用して井戸が掘られているようです。多量の礫が投げ込まれており、板碑片が10点以上、石臼・内耳土器等が破片となって混じっています。中世の遺構も、なかなか一筋縄ではいきません。

 本遺跡における中世の遺構の分布は、大まかですが、西に土坑墓群、中央に地下式壙群、東側に井戸が主に分布しているようです。

 

 下の写真は、滑石製勾玉の出土した住居跡のカマド。小型のカマドで、粘土で構築された天井部が崩落せずに残っていました。

 


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2005-11-01 茶臼 [立野遺跡発掘調査]

 今日は、午前中上空をやたら自衛隊の飛行機が通過していました。何か訓練でもあったのでしょうか。軍事関係は疎いので、飛行機の種類はまったくわかりません。下の飛行機は、胴体が膨らんでいるので輸送機なのでしょうか?

 

 第35号土壙、遺物残して掘り下げ終了。張出部があるので、これが竪坑ならば、小型の地下式壙の可能性があります。覆土下層には、焼けた礫・内耳土器・摺鉢・板碑・カワラケ・石臼等が出土しています。この遺構の周囲には、ピットが不規則に巡っており、もしかしたら、上屋が架けられていた可能性も考えられます。

 石臼は、破片で5点ほど確認していますが、その中の1点は、茶臼の上臼です。半分に割れています。第1号地下式壙から出土した、茶臼の下臼と、セットになると良いのですが・・・。

 

 


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