2006-03-24 報告書刊行

　先日、「上前原遺跡第２次発掘調査報告書」が刊行となりましたので紹介します。

　今回の印刷では、写真図版にFMスクリーニングという方法を採用してみました。FMスクリーニングとは、網点の大小による再現と異なり、同一サイズのドットの個数と密度を変えることで濃淡を表現する印刷方法で、ドットのサイズは約20ミクロンで175線のフルサイズの網点の2％ほどの大きさです。その微小なドットを濃淡に合わせてランダムに配置したもので、ドットが小さいため、高精細印刷と同様にディティールの再現やグラデーションの表現に優れますが、最も大きな特徴はドットがランダムに配置されているためにモアレが発生しないことを特徴とするものです。したがって、布地など、規則的にパターンが並んでいるようなものの表現には最適のようです。

　今回の遺構写真は、スライドの紙焼、遺物写真はデジカメ撮影のカラーデータで、印刷はモノクロ印刷でしたが、デュオトーン印刷のように、それとは判らず、 仕上がりは自然な感じでなかなか良い感じになったと思います。

　PDFファイルは近いうちに公開します（こちらは、もとデータですので写真類はカラーですが・・・）。

2006-03-07 校了

　「上前原遺跡第２次発掘調査報告書」校正終了。第３校まで予定していましたが、間違いがそれ程無いので、第２校で校了としました。あとは納品を待つだけ。無事、年度内刊行となりそうです。

　また本日、駒澤大の学生さんより連絡有。来週、整理のためTake Outした遺物を返却に来るとの事。すでに学生さんは試験休み？お待ちしております。　

2006-03-06 第2校

　先週金曜日に入稿した上前原遺跡第2次調査の報告書、本日午後第２校が、早くも印刷所よりあがりました。だいぶ急がせてしまったので、印刷屋さんは土曜日も休まずに仕事をしていただいたようです。今日・明日で校正して。明日夕方には、印刷所へ戻します。

　ここ数日、so-netのBlogは、超高負荷状態が続いており、管理者もほとんどログインできず、更新も止まってしまいがちです。がまんにも限界が・・・。まるでプレミアチケット状態？

　3日より、江南町議会が始まっています。一番の関心は合併問題ですが、初日の3日、熊谷市との合併協議会設置の議案を賛成多数で可決しました。いよいよ合併に向けて再始動のようです。もっとも、合併先の熊谷市は、3月定例会最終日の20日に議案が提案される模様です。ちなみに埼玉新聞の記事はこちらです。

2006-03-01 初校

　本日より3月、いよいよ年度末です。補助金をもらっている市町村は、何かと忙しくなる時期です（決して他人事ではありません）。

　夕方に、先月の21日に入稿した「上前原遺跡第2次発掘調査報告書」の初校が、印刷屋さんより届きました。可及的速やかに、年度内刊行を目指し、3日の金曜日には校正して印刷屋さんへ戻します。

　本日はなぜか閲覧者数が伸びています。久々に400名突破。カウンターの故障？とりあずお礼まで

　

2006-02-24 CGアニメーション

　立野遺跡第４次調査で、第４号墳の測量に、レーザー計測を使用しましたが、そのアニメーションが完成しました。
　正規版(25M)とweb公開用(525kb)が納品されましたが、圧縮版は容量が軽いだけあって、ちょっとブロックノイズが目立ち、動きがちょっと・・・ですが、軽さを優先ということです。
　本日、ホームページ「江南町の文化財」→「くるくるスタジオ」→「object」→「立野古墳群第４号墳」にて公開しましたので、参考までにご覧ください。作業員と重機は、プログラマーさんのサービスです。

2006-02-21 入稿

　本日、上前原遺跡第2次調査の報告書原稿入稿無事完了。

　報告の遺構は、縄文時代中期加曾利Ｅ式期の住居跡2軒・古墳1基・中世の溝１条です。総頁数は約１００頁。コンパクトな分量です。

　ちなみに目次は

第Ⅰ章　発掘調査の経過

　第１節　発掘調査に至る経緯

　第2節　発掘調査の経過

第Ⅱ章　遺跡の立地と環境

　第１節　上前原遺跡周辺の地理的環境

　第2節　上前原遺跡周辺の歴史的環境

第Ⅲ章　発見された遺構と遺物

　第1節　遺跡の概要

　第2節　縄文時代の遺構と出土遺物

　第3節　古墳時代の遺構と出土遺物

　第4節　中世の遺構と遺物

　第5節　遺構外出土遺物

第Ⅳ章　考察

　第1節　上前原遺跡出土加曾利Ｅ式土器の編年的位置付け

第Ⅴ章　調査のまとめ

付編　鉄製大刀保存処理の概要　

です。

2006-02-20 立野遺跡測量図

　ちょっと遅くなりましたが、立野遺跡第４次調査の航空測量図の粗図があがってきました。古墳の調査前の現況測量図・調査後の古墳測量図・石室平面立面図・地下式壙遺物出土状態図・井戸遺物出土状態図・溝遺物出土状態図・過去の調査区と未調査古墳の現況測量図を合成した全体図・レーザー測量によるCGアニメーション等です。ちょっと枚数が多いので校正に手間取りそうです。特に、中世の土壙墓群は密集して訳がわからなくなっていますので・・・。　

　調査区測量図は、紙に出力したものと、DXFファイルのデータでもらいましたので、後者を紹介します。DXFデータをIllustratorで開いてAIに変換し、さらにそれをPhotoshopで開き、トリミングしてJPEGに変換したものです。CAD系のソフトが無いもので、せっかくDXFデータでもらっても、ちょっと苦しいところです（フリーのCAD系ソフトも多数ありますが、頭がついていかないのと、今のところそれほど必要性も無いので、いまだ未経験）。

 

　さらに上図南側を拡大したものが下図です。白抜きの赤丸が第４号墳の石室。その周りの赤丸が地下式壙です。石室の周りをすっかり囲んでいる状況が良くわかります。南側の土坑墓群は密集しすぎて、手がつけられません。困ったものです。

　明日は、報告書入稿します。

事務連絡：遅くなりましたが、測量図の粗図がとりあえずあがったので、近いうちに研究室へ送ります。

2006-02-14 展開図

　整理作業を進めている上前原遺跡第2次調査。只今、遺物の写真を撮影中。試しに、縄文土器（加曾利E式土器）の展開写真をつくってみました。デジカメを使用し、土器を回転台に載せ、12分割した写真を、photoshop上で切り抜き、並べただけのものものです。ちょっと歪みが目立ちます。photoshop上で底径・口径の弧線を描き、そこに扇状に配置するか、望遠で撮影し、パノラマ写真合成ソフトでも使えば、もう少しなんとかなるかもしれません。報告書には、図版スペースが開いたら載せてみようかなどと思案中です（時間がありませんが・・・）。

2006-02-07 耳環

　本日朝方まで雪。江南町でも3cm程積もりましたが、昼頃にはほぼ消滅です。

　現在整理作業を進めている上前原遺跡第2次調査。第３号墳から出土した耳環を紹介します（スキャナー読込）。この耳環の本文説明は、現在執筆中で、「金銅製耳環。中実の銅芯に金属薄膜を貼ったいわゆる銅地金貼り耳環。表面の肉眼観察では、鍍金した銀板を貼っているものと思われるが、環端面の処理は判然としない。形状は、一部が途切れる「C」字形の環状で、環の断面は楕円形を呈する。長径2.4cm、短頸2.3cm、厚さ0.5cm、重量11.7ｇを測る。」と、なる予定です。遺物の状態は、銅芯に緑青がふき、鍍金が一部剥がれかかっており、あまり良好な状態ではありません。

　10日の金曜日に、印刷製本委託の入札を実施します。まだ、原稿・図版の作成は終了していませんが・・・。

2006-01-27 板碑

　昨年12月まで調査していた立野遺跡出土の、遺物の洗浄・注記を進めています。現在板碑の整理を進めていますが、しまう前に、机の上に並べてみました。被熱を受けて変色していたり、煤状の付着物がついているものが多いです。板碑も一緒に荼毘にふされた？

 

　総数で、小片も含めて50枚程。結構ありました。いくつかの板碑は、接合（同一遺構・遺構間含）しています。とりあえず、これでしまいますが、報告書の刊行はいつになることやら？（可及的速やかにを目標に・・・）